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インフルエンザワクチンの有効期間、必要性

[2020.11.05]

時々、患者さんから「あんまり早くインフルエンザワクチンをうつと、(シーズンの)途中で効果が切れちゃうでしょ?」と聞かれることがあります。1970年代の論文を読んでいると、確かに効果が3ヶ月程度と書かれていますが、近年のワクチンは概ね5ヶ月有効と言われていますので、早くうったからと言って途中で効果がなくなることはありません。

 

また、「この冬は皆が新型コロナの対策をしているのでインフルエンザは流行しないだろうから、うたなくても大丈夫」と言う人もいます。確かに、一足早く冬になった南半球のオーストラリアでは、インフルエンザの流行が例年の1/10だったという報告があります。しかし、例年、日本では1シーズンで約1千万人がインフルエンザに罹患すると言われています。

現在の病院・クリニックでは昔のように発熱の患者さんをどんどん診るということができません。熱がある方は、基本的には新型コロナウィルスに感染している可能性があると考え動線を分けています。当院でも1日に診察ができる発熱患者さんは5人程度です。ですから、例年の1/10と言っても、現状の医療体制にはかなりの負荷がかかることになります。

これまでは、インフルエンザが疑われる方は鼻に綿棒を入れてインフルエンザの検査を片っ端からおこない、陽性だったら薬を出すというのがある意味、風物詩でした。

しかし、鼻に綿棒を入れるとくしゃみをする人がいます。くしゃみをすると、感染者の場合ウィルスを含んだエアロゾルが部屋中に飛び散ってしまいます。そのため現在は、このような検査をする場合は、それがインフルエンザの検査であろうが新型コロナの検査であろうが(症状だけではインフルエンザか新型コロナか分かりません)医師はエプロン、N95マスク、ゴーグル、キャップなどフル装備をする必要があります。当然、それほどたくさんの患者さんを検査することはできません。

ですから、インフルエンザの流行は少なければ少ない方が良いのです。

 

以前も書いたように(インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンはアルツハイマー病の発症を予防する)、より多くの人がワクチンを接種することにより集団免疫が獲得され、その集団全体が病気にかかりにくくなります。ワクチンをうつのは自分のためだけではなく、周囲の人たちを守るためでもるのです。

 

 

 

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