RSウィルスワクチンも認知症を予防する
以前、このブログで帯状疱疹ワクチンを接種には認知症の予防効果があるという研究をご紹介しました。最近、アメリカからRSウィルスワクチンにも認知症予防効果があるらしいという報告がありました。
RSウィルス(RSV)は、もともと乳幼児で肺炎、気管支炎を起こすことが知られていましたが、近年では高齢者や肺気腫などの肺の病気を持っている人が感染すると肺炎が重症化することが分かっており、成人用のRSVワクチンが開発されています。
この研究は米国の電子カルテデータベースを用いた研究です。
対象:60歳以上、2023年5月以降に以下のいずれかを接種した人(合計436,788人)
RSVワクチンのみ(35,938人)
帯状疱疹ワクチン(シングリックス)のみ(103,798人)
両方接種(78,658人)
対照群としてインフルエンザワクチンのみ接種者とマッチング比較しています。
主な結果ですが、接種後18ヶ月以内の認知症の発症リスクが以下のように有意に低下していました
RSVワクチンのみ:29%減少
帯状疱疹ワクチンのみ:18%減少
両方接種:37%減少
両方接種しても追加効果(相加効果)は見られず。
効果は男女ともに認められた(性別による有意な違いなし)。
RSVワクチン、帯状疱疹ワクチン(シングリックス)の両方にAS01という成分が含まれており、この成分に認知症を予防する効果があるのかもしれません。また、両方接種しても相加効果が見られなかったのは、どちらか一方を接種しただけでAS01による効果は上限に達してしまうのかもしれません。興味深いのは、帯状疱疹ワクチンによる認知症予防効果は女性に強く見られていましたが、今回の結果では男女同等に効果が見られています。
認知症予防効果の有無はともかく、RSVワクチンは高齢者や呼吸器系の基礎疾患がある方、肺炎の既往がある方には有用なワクチンです。