インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンはアルツハイマー病の発症を予防する
アルツハイマー病協会の国際会議で、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンを接種しているとアルツハイマー病の発症予防になる可能性が発表されました。
この発表では、インフルエンザワクチンの接種により、アルツハイマー病発症のリスクが13-17%低下すると報告しています。
また、65-75歳の間に肺炎球菌ワクチンを接種した人は、アルツハイマー病の発症リスクが25-30%も低下していたそうです。
もちろん、こうしたアルツハイマー病の発症予防効果がなかったとしても、高齢者がインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種することは非常に重要です。
時々、「インフルエンザワクチンをうったのにインフルエンザにかかったから、ワクチンなんで効果がない。もう2度とうたない!」と言っている人をネットで見かけます。もちろんワクチンの効果は100%ではありません。
ワクチン接種をした65歳以上の方の、インフルエンザ発症予防効果は34-55%、死亡阻止効果は82%です。高齢者の場合、インフルエンザにかかったことを契機に亡くなる方は珍しくありません。発症予防効果は確かに50%ないくらいですが、ワクチンをうつことにより高齢者の方は、命を落とす危険を大幅に下げることができます。
肺炎球菌ワクチンも、接種により肺炎球菌による肺炎の予防効果は33.5%と言われています。また肺炎球菌による肺炎は重篤になることが多く、普通に自宅で生活している人が肺炎になる原因菌の1/4を占めています。
また、ワクチン接種は個人だけの問題ではありません。より多くの人が予防接種を受けることにより「集団免疫」というものができます。前述のように、ワクチンを接種しても効果がある人とそうでない人がいます。しかし、より多くの人が予防接種を受け、その集団の中により多くの免疫をもつ人が増えると、ワクチンの効果が出なかった人も発症しにくくなるのです。集団の中に、免疫を持っている人が多いほど、免疫がない人もかかりにくくなるのです。社会全体で感染症を流行させないためには、より多くの人が予防接種を受ける必要があります。インフルエンザワクチンの場合は、70%前後の人が予防接種を受ける必要があります。
図1 免疫を持つ人が少ないと、持たない人は周囲からの攻撃にさらされます。
図2 免疫を持つ人が多いと、持たない人はその人たちによって守られます。
おそらく近い将来、新型コロナウィルスのワクチンができると思いますが、この場合もより多くの人がワクチンを接種する必要があります。
Flu and Pneumonia Vaccinations Tied to Lower Risk of Alzheimer’s
おとなのワクチン 中山久仁子 著