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カフェインにはパーキンソン病の予防効果があるかもしれない

[2023.10.07]

シンガポールの研究機関から、カフェインを含む飲料(コーヒー、紅茶)を飲む人は全く飲まない人に比べて4-8倍、パーキンソン病を発症しにくいことが報告されました。またこの予防効果はカフェイン摂取量に比例しており、多く飲む人の方が発症が少なかったそうです。

現在、パーキンソン病の発症に関係している遺伝子がいくつか分かっており、こうした特定の遺伝子に変異があるとパーキンソン病を発症しやすくなります。今回の研究では、こうした遺伝子の中でLRKK2という遺伝子変異を持っている人達を調べていますが、カフェインの発症予防効果は特にこの遺伝子変異を持っている人達で強く認められました。遺伝子変異を持っていない人ではカフェインによる発症予防効果は40%程度ですが、遺伝子変異を持っている人では予防効果は70-80%程度あったそうです。

以前から、カフェインがパーキンソン病の発症予防効果があるのではないかという報告や、パーキンソン病患者さんでは血中のカフェイン濃度が低くなっているという報告があり、カフェインがパーキンソン病の発症と何らかの関係があるのではないかと考えられています。

今回の報告では、遺伝的にパーキンソン病発症リスクが高い人ほどカフェインの予防効果があるという点が注目すべき点です。ただ、パーキンソン病の発症リスクを増やす遺伝子変異は他にもあるのですが、それらについてはカフェインの予防効果がどの程度あるのかは分かりません。

2親等以内にパーキンソン病患者さんがいる方は、コーヒーや紅茶を意識して摂取してみても良いと思います。ただカフェインもあまり多く摂取すると依存症をおこしたり心臓に悪い影響を与えることがありますので注意してください。

 

(追記)この研究から、確実にコーヒー(カフェイン)にパーキンソン病の発症予防効果があると断言はできません。これはあくまで仮説ですが、カフェイン飲料に対する嗜好を決める未知の遺伝子があったとします。この遺伝子を持っていると、その人はコーヒーなどのカフェイン飲料を好きになりたくさん飲むようになります。その一方、この遺伝子には未知の機序でパーキンソン病の発症を抑える働きも持っているとします。そうすると、この遺伝子を持っている人はコーヒーが好きになる一方で、パーキンソン病も発症しにくいということになります。これはあくまで仮の話であり、そのような未知の遺伝子が存在を示唆する証拠はまったくありませんが、こういう考え方もあるということです。

Caffeine intake interacts with Asian gene variants in Parkinson's disease: a study in 4488 subjects

White cup with strong black coffee on a rustic wooden table with some beans, copy space, selected focus, narrow depth of field

 

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