片頭痛を薬で予防する
片頭痛を持っている方はたくさんいますが、頭痛が起きたときに痛み止めを服用ししのいでいる方が多いと思います。この場合の痛み止めというのは、薬局で売っているようなイブやバファリン、ロキソニンのこともあれば医療機関を受診して処方されたトリプタン製剤と呼ばれる薬のこともあります。しかし、以下のような方が受診されることがあります。
25歳女性。以前からの頭痛持ち。痛いときはイブをのんでいたがそれほど効果はなかった。しかし、翌日には良くなっていたので我慢していた。4日前から頭痛がありイブを服用しても効果が無く、病院を受診したところ片頭痛と診断されイミグランという薬をもらった。イミグランを服用するといったんは良くなるが、翌日にはまた痛くなってしまう。
このような方は片頭痛が慢性化しています。トリプタン製剤は確かに片頭痛の痛みを抑えますが、上記のような方は頭痛がすぐに再燃してしまいます。
片頭痛が繰り返し起こる方、1ヶ月に8日以上頭痛があれば、片頭痛の予防薬の適応になります。予防薬というのは、片頭痛の勢いを抑えて頻度を減らす薬のことですので、頭痛の有無に関係なく毎日服用します。海外の研究ですが、片頭痛患者さんが予防治療を受けると頭痛のために外来を受診する頻度が半分になり、救急外来を受診する頻度は80%も減少しています。
予防薬には以下のような種類があります。
ロメリジン(ミグシス/テラナス) カルシウムチャンネル拮抗薬という種類で副作用は軽度です。
プロプラノロール(インデラル) 交感神経の働きを抑える薬です。副作用は少ないのですが、まれに倦怠感を感じたり脈拍が遅くなる人がいます。
バルプロ酸(デパケン/セレニカ) てんかんの薬です。小児のてんかんにも用いる薬で副作用は少ないのですが、まれに眠気や倦怠感を感じることがあります。
トピラマート(トピナ) てんかんの薬です。体重減少作用があり肥満がある人は良いかもしれませんが、眠気がかなり強い薬です。
アミトリプチリン(トリプタノール) 昔からある抗うつ薬です。やはり眠気が強く出ます。
片頭痛患者さんは女性が多いので、やはり眠気が出やすい薬は使いにくいです(女性の方が小柄なためか眠気の副作用が出やすい)。
また、どの薬が合うかは個人差があるため、副作用の少ない薬から順に試していくことになります。また予防薬はできるだけ1種類にしたいのですが、どうしても2種類以上でないと発作を抑えられない方もいます。
頭痛が毎日続いたり、週に2日以上ある場合は予防薬の適応があります。