パーキンソン病のwearing-off(ウェアリング・オフ)
パーキンソン病を長く患っていると、薬の効き目が徐々に短くなってきます。今までは1日3回服用すれば1日中効果が安定していたのに、朝服用した薬の効果が昼までは続かず11時頃になると身体が重い、脚が出にくいといったことが起きるようになります。薬の効いている時間を「オン」、切れている時間を「オフ」と言います。
こうした効果が短くなる薬はレボドパ製剤と呼ばれるもので、薬の名前としてはイーシードパール、メネシット、ドパコールなどいくつかの名称があります。逆に他の薬では、このように効果が短くなることはありません。ただレボドパはパーキンソン病の治療の一番中心的な薬なので、効果が短くなると生活や仕事に支障が出てきます。
このウェアリング・オフに対して対策はいくつかあります。
1. 薬の効果が切れる前に追加でレボドパを1錠服用する。
例えば、今まで毎食後にレボドパを1錠ずつ服用していた場合、それに加えて11時に0.5(ないしは1)錠、16時に0.5(ないしは1)錠服用してもらいます。ただ、この方法だと1日の服用回数が増えてしまい煩雑となります。一方、その日の体調によって服用量を調節できます。例えば、「今日は朝の薬が長く効いているので11時の薬はのまなくても大丈夫」といった具合です。
2. レボドパの効果を延長させる薬を併用する。
レボドパは服用すると身体の中で徐々に酵素によって分解されていきます。この酵素の働きを抑える薬があり、これを服用すると薬の効果が少し長くなります。
こうした薬にはCOMT阻害薬と呼ばれるコムタン(エンタカポン)とMAO-B阻害薬であるエフピー(セレギリン)、アジレクト(ラサギリン)、エクフィナ(サフィナミド)といった薬があります。
ただ、こうした薬を使ってもオフ時間をゼロにするとことはなかなかできませんし、長期的にはオフ時間は少しずつ長くなっていきます。