パーキンソン病のしびれ、レボドパとビタミンB6
パーキンソン病患者さんでは手足にしびれを感じる方が珍しくありません。私の印象ではなく、実際に調査してもパーキンソン病では手足の末梢神経に障害を認める方が30-70%いるようです。
以前から、パーキンソン病の薬であるレボドパによって末梢神経障害が誘発されるのではないかという仮説がありました。
今回、カナダからパーキンソン病患者さんが服用しているレボドパが多いほど、血中のビタミンB6が低下して末梢神経障害が悪化する傾向があるということを報告がありました( PMC11736868)。この結果はレボドパによってビタミンB6が不足し、その結果、末梢神経障害が起きている可能性を示唆しています。
ただし、カナダではレボドパの服用量が非常に多く調査した患者では1日平均1000mg服用しています。日本ではおそらく300-450mgくらいの人が一番多いと思うので、ほぼ倍の量を服用していることになりますから、今回の結果がそのまま日本人に当てはまるかは分かりません。またこの研究では調査した患者数は50人と少なく調査数としては不十分ですしビタミンB6と末梢神経障害の間に相関関係がありそうだということは示していても因果関係を証明した訳ではありませんので、今後は、しびれを訴える患者さんで血中ビタミンB6が低い人に補充療法をおこない症状が改善するかどうかを確認する必要があります。
しびれで困っている方は時々見ますので、ビタミンの測定はしたほうが良いのだと思います。
パーキンソン病とは関係ありませんが、銀杏にはビタミンB6の働きを阻害する作用があり、大量に銀杏を食べるとビタミンB6欠乏症が起きて、嘔吐や痙攣、意識障害を起こすことがあります。特に銀杏中毒は子供に多く「銀杏は歳の数以上食べてはいけない」という言い伝えはこのためです。