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パーキンソン病の原因(3)

[2019.12.27]

前回は腸管にαシヌクレインというタンパク質がたまることが、パーキンソン病発症の第一歩だと書きました。では、なぜこのαシヌクレインというタンパク質がたまるのでしょうか?詳しい原因はまだわかっていませんが、最近、腸内細菌叢が関係しているという研究報告が出ています。私達の消化管の中には無数の細菌(1000種、100兆個)が生息しており、これを腸内細菌叢と呼んでいます。細菌と聞くと、なんだか不潔で体に悪いものというイメージがありますが、昔から腸内細菌叢は人間にとって重要であるという考えがあり、近年の研究では今まで予想されていなかった重要な役割があることがわかっています。
 ヨーグルトが体に良いという話を一度は聞かれたことがあると思います。これは乳酸菌が腸内細菌に良い影響を与えるという考え方に基づいています。また、太った人の腸内細菌をマウスに移植するとそのマウスは太りやすくなり、やせている人の腸内細菌を移植すると、マウスは太らないという実験結果があります。腸内細菌は私達が食物からのエネルギーを吸収することに、重要な役割を果たしています。
 また、肥満だけでなく糖尿病、関節リウマチ、炎症性腸疾患、など様々な病気にも関与していることが分かっています。肺炎や膀胱炎などの感染症の時には抗生物質を投与しますが、抗生物質は悪い細菌だけでなく腸内細菌にも影響を与えてそのバランスを崩してしまうことがあります。パーキンソン病を発症した人は、そうでない人に比べて抗生物質の使用が多いという報告があります。抗生物質による腸内細菌叢の乱れがαシヌクレインの蓄積につながるのかもしれません。また地中海食といって魚や黄緑色野菜、豆類オリーブオイルを中心とした食事はパーキンソン病の予防効果がある可能性があります。食事により腸内細菌叢が改善されるのかもしれません。

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