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パーキンソン病とパーキンソン症候群

[2020.01.30]
パーキンソン病とパーキンソン症候群
パーキンソン病の疑いで病院を受診して、いろいろな検査の結果などから「あなたはパーキンソン病ではなく、パーキンソン症候群です」と言われることがあります。これは、一体どういうことなのでしょうか?
「パーキンソン病」と「パーキンソン症候群」、字面は似ていますが、この2つはまったく異なる病気です。
パーキンソン症候群というのは、簡単に言うと、“パーキンソン病に似ているけれど、パーキンソン病ではない一群の病気”ということなのです。つまり、パーキンソン症候群というのは、それ自体病名ではありますが、いくつかの疾患名の総称でもあります。
では、パーキンソン症候群と呼ばれるのはどのような病気なのでしょうか?
臨床現場でパーキンソン症候群と呼ばれる主な病気には以下のようなものがあります。
1. 薬剤性パーキンソン症候群
2. 脳血管性パーキンソン症候群
3. 正常圧水頭症
4. 多系統萎縮症
5. 進行性核上性麻痺
6. 大脳皮質基底核変性症
1-3については、患者さんが服用している薬を確認したり、脳のMRIを撮影することにより鑑別が可能です。ただ4-6の病気はしばしば診断が難しく、専門医からパーキンソン症候群と言われた場合は、この「あなたはパーキンソン病ではなく4-6のどれかの病気でしょう」という意味合いで用いられていることが多いと思います。
パーキンソン病と4-6のようなパーキンソン症候群では、何が違うのでしょうか?
まず問題になるのは、パーキンソン病に比べ4-6の病気では治療法が乏しいということがあります。最初はパーキンソン病と診断されても、薬の効果が乏しく結果的に、パーキンソン症候群と診断されることもあります。では、なぜ4-6の病気ではパーキンソン病の薬が効かないのでしょうか?
パーキンソン病は、脳の中の黒質という部位で作られるドーパミンという物質が減る病気です。なので、このドーパミンを薬の形で補充すると症状が改善します(図1、2,3)。

一方、パーキンソン症候群と呼ばれる4-6の病気では線条体にあるドーパミン受容体自体が減っています。そのため、ドーパミンがいくらあっても、脳がうまく身体をコントロールすることができなくなります。つまりドーパミンの不足ではないために、ドーパミンを補充しても症状は改善しないのです(図3)。

では、パーキンソン病の薬が効かないからと言って、4-6のような病気に特別に効く薬があるかというと、現状ではそのような薬はありません。つまり、4-6のようなパーキンソン症候群は、パーキンソン病に比べて厄介な病気だと言えますし、パーキンソン病以上に難病と言えると思います。ただ、パーキンソン病の薬が多少効く場合もありますので、試してみることは重要です。また、リハビリを行うことも重要な治療のひとつです。
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