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なぜ陰性になった患者が再び陽性になるのか?

[2020.05.03]
時々ニュースで、いったん陰性になった新型コロナウィルス肺炎の患者さんが、その後の検査で再度陽性になったと報道されることがあります。
なぜ、このようなことがおこるのでしょうか
前回のブログで書いたように、PCR検査はウィルスの遺伝子を増幅し検出しています。ただ、患者さんが回復し体内のウィルス量が少なくなると、どうしてもPCR検査の精度が落ちてきます。なので、回復期ではPCR検査をしても陽性になったり陰性になったり結果が一定しない可能性があります。

では、こうした再度陽性になった人が、再び症状が悪化したり他人に感染させるのでしょうか?今のところ、その可能性は非常に低いようです。PCR検査はウィルスの遺伝子を検出しますが、それはウィルスの一部です。遺伝子が検出されたからといって、厳密に言えば、体内に生きているウィルスが残っているかは分かりません。例えがよくないかもしれませんが、蚊の足を検出することにより蚊がいるかどうかを調べる検査があったとします。この場合、蚊がすでに死んでしまい、バラバラになった足だけが検出されても結果は陽性です。しかし、蚊に血を吸われることはありません。これまでの研究では発症後7日間を経過すると、他人に感染される可能性は急速に低くなるようです。国内でもPCR検査が2回陰性になり自宅に帰った女性が、その後、他人に感染させた例が報告されていましたが、確か発症後6日で退院していたと思います。現在のPCR検査では生きているウィルスのRNAと死んだウィルスのRNAを区別することができません。インフルエンザにかかった場合、解熱してから3日間たってから出勤してください、と言われることがあります。しかし、その後でもウィルスを排出する人がいます。ウィルス感染の場合、人に感染させないという証明はかなり難しいのです。

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