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認知症の診断は簡単?

[2020.01.11]

近年、社会の高齢化に伴い認知症の患者さんが増えています。ですから、認知症を心配したご本人や家族が医療機関を受診することは珍しくありません。
物忘れ=認知症であり、頭のCTやMRIを撮影すると認知症かどうかが分かると思っている方が多いと思いますが、これは必ずしも正しくありません。
例えば、以下のような例はどうでしょう?
84歳女性。最近、財布や鍵がよく見つからないと言う。先日、娘が訪ねてきた後に財布が見つからないと「娘が盗って行った」と言ったが、その後に台所の引き出しから出てきた。家族と電話で話をしても、1時間後にまた電話をしてきて同じことを聞く。冷蔵庫には、卵が何パックも入っている。また、近所に買い物に行った時に迷子になって警察に保護されたことがある。
どうでしょうか?この方は、検査をせずともかなりの確率で、アルツハイマー型認知症だと思います。記憶障害、重複買い、物盗られ妄想、迷子といったキーワードから診断が容易につくのです。

一方、こういう方はどうでしょうか?
78歳男性。最近、自分の記憶力に自身がない。この3ヶ月に2度、人との約束をすっぽかした。妻も、夫の物忘れが少し気になるが、生活には支障はなく一人で電車に乗って出かけていって友人と将棋をうっている。診察室で検査をしてみると、確かに記憶力が年齢と比しても低下しているが、それ以外の日付や場所の感覚、計算力などは正常である。

この方は、認知症というより軽度認知障害の可能性が高いです。
健康な方がある日突然認知症になるわけではありません。多くの場合、少しずつ認知機能が低下していき最終的に認知症という状態になると考えられます。この正常と認知症の境界の状態が軽度認知障害と考えられます。
スライド2

このような方は経過を見ることにします。この時点で例えばアルツハイマー病の薬を処方しても、あまり患者さんにはメリットがありません。現在のアルツハイマー病の薬は軽度認知障害から認知症(アルツハイマー病)へ進行することを抑えることはできません。また、この方に薬を出しても物忘れが目に見えて良くなることはありません。
中にはそれほど進行せずに何年も経過する人もいますし、もし進行するようならその時点から薬を始めます。

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