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新型コロナの治癒証明は必要か?

[2021.04.10]

新型コロナウィルスが国内で流行し始めて1年経過しました。この間で都内の感染者数は累計12万5千人に達しています。感染者数が増加したということは、回復し社会に復帰している方も増えてきているわけですが、退院した人から「職場に復帰するにあたり、再度PCR検査を受けて陰性を確認してくれ」と言われました、とか、あるいは新型コロナに感染するまで通院していたクリニックから「再度、当院に通院したければ、PCR検査を受けて陰性を確認してからにしてほしい」と言われたという相談を受けるようになりました。

通常、PCR検査や抗原検査で陽性と判断された場合、入院、宿泊施設での療養、自宅療養のいずれかになります。また、退院(隔離解除)の基準は

1.有症状者の場合(①、②のいずれか)
① 発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合、退院可能とする。
② 症状軽快後24時間経過した後、24時間以上間隔をあけ、2回のPCR検査 で陰性を確認できれば、退院可能とする。
2.無症状病原体保有者の場合(①、②のいずれか)
① 検体採取日から10日間経過した場合、退院可能とする。
② 検体採取日から6日間経過後、24時間以上間隔をあけ2回のPCR検査陰性を確認

つまり、症状がなく発症から10日間たっていればPCR検査をせずとも退院(隔離解除)可能になっています。

1年前、国内で流行が始まった当初は2回PCR検査で陰性にならないと退院できませんでした。ところが、改善して熱も症状もまったくないのにずっとPCRが陽性のままの方(人によっては1ヶ月以上)が出てきました。こうした患者さんは、まったく症状がないのにPCR検査が陰性化するのを待つためだけにずっと入院していたのですが、その内に、発症後10日経過し症状がない人は他人に感染させることはまず無いということが研究で分かってきました。また、こうした無症状の方をずっと入院させておくと病院のベッドが不足するため、方針が変更され上記のような退院(隔離解除)基準となったわけです。

なぜ、回復後も長期にわたりPCR陽性になる人がいるのかということですが、PCR検査はウィルスの遺伝子(RNA)を検出しています。回復した後でも体内に死んだウィルスが残っている場合があり、PCR検査はこうした死んだウィルスの残骸を検出していると考えられています。つまりPCR検査では、感染力のある活きたウィルスと、感染力のない死んだウィルスを区別できないのです。

現在、軽症で済んだ多くの方はPCR検査で陰性を確認せずとも上記の基準を満たしていれば、退院ないし隔離解除になっています。こうした方は、当然、感染前の生活に戻っていくわけですが、その際に周囲から「再度PCR検査を受けて陰性を確認してくれ」と言われた場合にどのようなことが起こるでしょうか?

まず、そのPCR検査の費用を誰が負担するかです。このような場合は保険適用外ですので、自費でPCR検査受ける必要があります。また、最大の問題は、前述したように回復しても長期間にわたり陽性になる場合があるということです。その場合、陰性化するまで職場復帰やかかりつけ医への通院はできないのでしょうか?もし、そうだとすると給与は?病欠扱いになるのでしょうか?もし、かかりつけ医が診てくれなければ、体調が悪化したときにどうしたら良いのでしょうか?また陰性が確認できるまで何度もPCR検査を受けるとすれば、当然費用もかさみます。その費用はだれが負担するのでしょうか?同居する家族がいた場合、せっかく回復し退院してきたのに再度PCR検査をおこなって陽性となれば、当然不安になるでしょう。同居している家族にしても、「え?まだ陽性なら一緒に住んでいて大丈夫なの?私たちが会社や学校に行ってもいいの?」ということになります。

新型コロナについては、例え医療関係者でも十分な知識がなかったり不安が強い人もいます。安全を確認したいという気持ちは誰しもありますが、回復を確認するためにPCR検査を安易におこなうと上記のような問題が発生する可能性があります。現時点で、身体に感染性のあるウィルスがいるかどうかを正確に判定する検査はありません。

注)変異型ウィルスについては、やはりPCRで2回の陰性を確認してからの退院ということになっていましたが、病床数が不足する恐れが出てきたため、これまでと同様の扱いになったようです。「変異型、退院基準緩和 厚労省通知、従来型と同様に 新型コロナ」朝日新聞2021年4月9日

参考文献 新型コロナウィルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第4.1版

 

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