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パーキンソン病はいつから治療を始めるべきか?

[2020.07.10]
以前、あるパーキンソン病の患者さんが、かかりつけ医から「まだ軽いから治療しなくても大丈夫」と言われたそうですが、ネットで調べると「早めに治療をした方が良い」と書かれており「どちらが本当でしょうか?」と相談に来られました。
どちらが本当でしょうか?

例えば、癌や肺炎などは見つかったらすぐに治療を始めます。確実に癌と分かっていて治療をあえて先延ばしすることはほとんどありません。一方、パーキンソン病の場合は必ずしも、診断したらすぐに治療を始めないといけないということはありません。
パーキンソン病の患者さんの中には、症状が手の震えだけで、気にはなるけど特段生活には困っていないという方もいます。パーキンソン病の治療は早ければ早いほど、進行が遅らせることができるわけではありません(残念ながら)。ですから、本当に症状が軽い方であれば、しばらく経過を見ることもあります。

「いつから治療を始めるべきか?」という問いに対する答えは「患者さんの生活や仕事に支障が出てきたら」ということになります。

私が医師になった時は、パーキンソン病の治療、特にレボドパ(パーキンソン病治療のもっとも重要な薬)の開始はできるだけ後に伸ばした方が良いと教わりました。しかし、近年の研究ではレボドパの開始を先延ばしにするメリットは以前考えられていた程大きくはないとがわかっています。診断を受けてすぐにレボドパの服用を始める人と、治療を1年待ってもらってから治療を開始した人を比べると、治療を後から開始した人ももちろん症状は改善しますが、治療を先行した人たちに改善が追いつかないのです。つまり必要以上に治療を先延ばしすると、患者さんに不利益になるということです。
一方、早く治療を開始したから進行が遅くなることもないことが分かっています。

例え症状が軽くても、今までできていたことができなくなれば患者さんは不自由を感じますから、治療を開始する必要性はあります。医者が傍目から見ているだけでは、治療の必要性は必ずしもはっきりしませんので、上記のことをよく説明し、いつから治療を始めるかをよく相談する必要があります。

治療を開始すれば、多くの場合症状は改善しますが、すべての症状が良くなるわけではなく症状がゼロになるわけでもありません。そうしたことも、よくご説明した上で、治療方針を決めるようにしています。


Michal JarmolukによるPixabayからの画像

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