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コロナ患者の急増について(2022.07.14更新)

すでに報道されていることですが、7月上旬よりコロナウイルス感染者数が再び急増しています。それに伴い、発熱、喉の痛み、咳などを主訴として受診を希望する患者さんも急増しており、当院でも既に診察できる患者数よりお断りする数の方が多い状況です(おそらく発熱外来をおこなっている他の医療機関も)。

コロナ禍前までは、冬になると発熱など風邪症状の患者さんがたくさん医療機関を受診し、他の患者さんと厳密な区分けもせず待合室にぎゅうぎゅう詰めになり片っ端からインフルエンザの抗原検査をおこなって・・というのが風物詩のようになっていました。新型コロナウイルス出現以降は状況が一変し、発熱や熱が無くても咳や喉の痛みがある方はコロナの疑いがあるため予約制で部屋を分けて診察していますので、以前に比べれば半分以下の患者数しか診察は出来ません。

そのため第5波の頃から診察希望の問い合わせを断ることの方が多くなってきました。現在、発熱外来をおこないかかりつけ医以外の患者さんにも対応して検査もおこなっている医療機関は全体の1/3程度だと言われています(さらに、この内でかかりつけ医以外の患者も診ているのはさらに半分)。行政は一貫して検査キャパシティを増やす方向で努力してきましたが、おそらく今後はこれ以上増えることはないと思います。2年前にコロナが国内で流行し始めた時は、発熱患者を診て検査ができる医療機関を増やすために補助金が用意され、検査をおこなった際の保険点数(医療機関に入る収入)も他の病気の検査に比べるとかなり高額でした。しかし、今年に入って検査の保険点数は段階的に減らされ当初の半分程度になっています。コロナの検査をした場合、その後の患者さんへの連絡や陽性者の届け出の手間を考えると、医療機関にとっては割の合わない検査になっていますので、経営的に一番賢いやり方は発熱患者さんの診察だけをして、検査は他の病院に依頼する(悪く言えば押しつける)ということになります。このように検査をおこなわずに他の医療機関にfree rideするというやり方が最も得ということになると、検査をおこなう医療機関がこれ以上増えることはありません。

ただ、行政としてもコロナにばかりお金をつぎ込むのは難しいですし、先ほど検査点数が減ったと書きましたが他の病気の検査点数に比べればまだ高いくらいなので検査点数を段階的に減らしてきたことはやむを得ないと思います。

今年に入ってからコロナウイルスの流行はほぼ100%オミクロン変異になっており、これも報道されていますが昨年の夏に流行したデルタ変異と比べると肺炎を発症し重症化する割合は非常に低く、多くの方が風邪症状か辛いインフルエンザ程度で済んでいます(ウィルスの特性だけでなくワクチン接種が普及したことも理由です)。実際に受診される方の半分程度は受診時の症状は軽く、診察治療よりは検査を受けることが目的のようです。電話で問い合わせの際に最初から「PCR検査の予約をお願いします」と言う方も珍しくありませんし、受診しても特に薬は希望されない方もいます。また処方する薬にしても、ほとんどの方は解熱剤や咳止めなど普通に薬局で売っている薬がほとんどです。注)現在主流になりつつあるBA5変異はこれまでのオミクロン変異に比べると肺炎を起こしやすいかもしれないという報告がありますが、このブログを書いている時点ではまだはっきりしたことは分かっていません。

このような状況ではいくら検査キャパシティを増やしたとしても、検査の需要に追いつくことは不可能ですので、現実的な対策としては抗原検査キットによる患者自身での検査をさらに増やすことだと思います。ここでまた問題があるのですが、現在市販されている抗原検査キットは2種類あり、研究用試薬と表記されているものと、体外診断用医薬品として国が認可しているものです。前者は海外からの輸入品などが多く混じっており精度はまちまちです。後者は国が認可したもので、医療機関が検査に使用しているものと同じです。しかし、前者の方が価格が安く、後者は薬剤師による説明が必須だったりと購入のハードルが高くなっており、結局は悪貨が良貨を駆逐する状況になっています。

抗原検査キットを患者自身がうまく使えるのかという意見もありますが、確か海外での調査では医療機関で行う場合と結果にそれほど遜色はなかったと思います。またPCR検査よりは精度は低いですが、それででも発症翌日以降の検査であれば、PCR検査と比較しても90%程度の陽性一致率(精度)があります。以前イギリス在住の方の話をネットで読みましたが、国が大量のキットを配ったのでどの家庭にもいくつかキットが置いてあり、症状があればまず自分で検査をおこない陽性であれば会社に届け出をしてしばらく休むということが普通で(どのくら休むかは会社の判断による)。薬が必要な場合はドラッグストアで解熱剤などを購入するそうです。イギリスは日本と違って医療機関への受診が自由にできないので、このようなやり方が普及している面もあるでしょう。

日本も、研究用試薬の検査キットの販売を規制し、認可された抗原検査キットをもっと安い価格で普及させた方が良いと思います(ちなみに妊娠反応試薬は1回分が1000円以下です)。もっと言えば、キットにQRコードを付けておいて、陽性だった場合は患者さん自身がスマホで発生届を出せればなお良いと思います(すでに採用している自治体もあるかもしれません)。

(追記) 8月3日より東京都が抗原検査キットを無料配布し、陽性者はオンライン登録センターで発生届を出せるようにするそうです(ただし、当初は20代限定)。

日本ではコロナ禍前から、熱が出るとまず病院に行って検査を受けてインフルエンザなら仕事を休めるし薬が処方されるが、そうでないと仕事も休めないという検査至上主義のような状況が普通でした(医療機関へフリーアクセスになっていることも大きいと思います)。これが現在の状況を生み出しています。基本的にはインフルエンザだろうがCOVID-19だろうが風邪だろうが、体調が悪ければ仕事を休めることが重要です。

もちろん高齢者や基礎疾患があったり妊娠中の方などは、例え症状が軽くても早く診断を確定し重症化に備える必要があります。一方、若くて症状が軽い方まで全て医療機関で検査を行うというのは、いくら行政が頑張っても不可能でしょうし、本当に必要な方の医療機関受診が後回しになる可能性もあります。

[caption id="attachment_3020" align="alignnone" width="300"] COVID19 test for diagnosis new corona virus[/caption]

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