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糖尿病の薬はまず何から始めたら良いか?(2020.09.11更新)
糖尿病になると、まず食事・運動療法を始めます。それでも血糖値の改善がない場合に内服薬を開始します(著明な高血糖の場合は、まずインスリンから始めることもあります)。
現在、糖尿病の内服薬は数多く出ていますが、まずどれを選ぶべきなのでしょうか?
実は多くの国の学会で、メトホルミン(メトグルコ)という薬が第一選択薬として推奨されています。
糖尿病の薬を選ぶ基準とは、効果、安全性、薬価(経済的効率)となります。
効果というのは、もちろんまず血糖値がどのくらい下がるかなのですが、それ以外に合併症を予防できるかが重要です。血糖値が高くなると何が良くないかというと、色々な合併症が起きてしまうためです。糖尿病の合併症は、眼(網膜症)、腎臓(腎不全)、末梢神経障害、脳卒中、心筋梗塞など全身に出ます。この中でも、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、末梢動脈閉塞症を大血管病変と呼びます。こうした大血管病変は命に関わることもあり、こうした合併症の予防は非常に重要です。
実は、同じくらい血糖値が下がっても、こうした大血管病変を予防できる薬とそうでない薬があります。
メトホルミンは、肝臓で行われる糖の合成を抑制する薬です。糖尿病の薬の中には、体重が増える作用があるものもあります(インスリンがそうです)。当然、糖尿病の場合は体重が増えることは好ましくありませんが、メトホルミンには体重増加の副作用はありません。
また血糖降下作用が強い薬の中には、低血糖を起こすことが時々あるような薬があります。低血糖は非常に重篤な副作用で、しばしば命に関わります。しかし、メトホルミンは薬の仕組み上低血糖をおこす危険が非常に低い薬です。薬価も糖尿病の薬の中では非常に安い薬です。
しかし、現在日本では第一選択として用いられることが最も多い薬はメトホルミンではなく、DPP-4阻害薬という薬です。このDPP-4阻害薬の血糖降下作用はメトホルミンとあまり変わりません。安全性も高い薬です。しかし、これだけ多く使われている薬ですが、大血管病変の予防効果は証明されていません。また薬価もそれなりに高く、メトホルミンの場合、ジェネリックなら1日20-40円ですがDPP-4阻害薬の場合、最もよく使われている薬で1日129円です。
では、なぜメトホルミンではなく、DPP-4阻害薬のほうが先に使われるんでしょうか?
メトホルミンはわずかですが、副作用があります。服用を始めたときに少し軟便になったり、下痢をすることがあります(しばらく服用していると慣れてでなくなることが多い)。そして、非常に希ですが、乳酸アシドーシスという副作用が出ることがあります。現在、この乳酸アシドーシスは腎臓や肝臓の働きが非常に悪くない限りはめったに起こらないことが分かっていますが、この副作用がひとり歩きしてしまい使用が控えられています。
日本では、効果のある薬より副作用の無い薬の方が医師は好んで使用すると言った人がいますが、そういう側面は確かにあります。また医者は新しい薬を好みます。メトホルミンは古く歴史のある薬で、DPP-4阻害薬はメトホルミンに比べるとずっと新しい薬です。もちろんDPP-4阻害薬も重要な薬ですが、上記の理由で第一選択はメトホルミンが推奨されています。

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