睡眠時無呼吸症候群は将来のパーキンソン病の発症リスクを増加させる
今回の話しも、岐阜大学脳神経内科の下畑先生のブログを拝見して知りました。
睡眠時無呼吸症候群というのは、睡眠中に頻回に呼吸が止まる病気で、放置しておくと血圧が上がったり心臓の病気や脳卒中を起こしやすくなるなど様々な障害を併発します。また昼間の眠気が強くなるため、車などを運転している場合は事故につながります(睡眠時無呼吸症候群(SAS)と交通事故)。治療はいくつかありますが、主として用いられるのはCPAPという機械を夜間に装着して強制的に肺に空気を送り込む治療です。この治療をおこなうと、多くの人で無呼吸の頻度が低下します。
今回の研究では、1万人以上のアメリカの退役軍人を対象に観察した結果を基にしています。そのうち13.7%に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)があり、OSASと診断された後2年以上たつとOSASがある人の方がパーキンソン病を発症する人が増えていきます。平均して5年経過を追跡していますが、OSASがある人はない人に比べて2~3倍、パーキンソン病を発症する確率が増えています。
しかし、OSAS発症から2年以内にCPAPの治療をおこなうとパーキンソン病を発症するリスクが30%低下します。治療が遅れるとこのリスク低減効果は見られません。またCPAPを早期に導入した人達ではパーキンソン病を発症したとしても、転倒、死亡、骨折が少なくなっています。
なぜOSASがあるとパーキンソン病になりやすくなるのか、詳しいことは分かっていません。ただ、OSASの治療をおこなうとパーキンソン病を発症するリスクが減るということは、パーキンソン病を発症するとOSASを合併しやすいのではなく、OSASがあるとパーキンソン病を発症しやすくなるということを意味しています。
パーキンソン病では発症前から見られる症状として、便秘、嗅覚障害、レム睡眠時行動障害(夜中に大声を出したり手足を大きく動かす)が知られています。このうち、便秘やレム睡眠時行動障害は治療可能な病態です。睡眠時無呼吸症候群を治療することにより将来のパーキンソン病発症リスクを減らせるのであれば、便秘やレム睡眠時行動障害も早期から治療することがパーキンソン病の発症予防につながるかもしれません。

