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帯状疱疹ワクチンが認知症を予防する

[2025.04.07]

以前、このブロブで、組み換えサブユニット型の帯状疱疹ワクチンが認知症の予防効果があるという研究をご紹介しました。最近、またイギリスから、同様の報告があったのでご紹介します(PMID: 40175543)。

イギリスのウェールズ地方では1933年9月2日以降に生まれた人が、2013年9月1日以降に帯状疱疹ワクチンを接種する資格を得ました。そうすると以下のグラフのように、1933年9月2以降に生まれた人達の帯状疱疹の発症率が急に低下しています。グラフは縦軸が帯状疱疹の発症率、横軸は中央の赤い点線が1933年9月2日で、点線より右がそれ以降に生まれた人、左側がそれ以前に生まれた人です。

 

では、この人達を追跡調査して認知症を後で発症したかどうかを調べたのが下のグラフです。横軸は左に行くほど年齢が高く、右に行くほど年齢は若くなります。認知症は高齢になるほど発症しやすくなるのでグラフは左肩上がりになりますが、やはり19933年9月2日を境にして認知症の発症率ががくんと下がっています(相対的には20%の減少)。

この認知症の発症率を男女差で見たのが下のグラフです。男女別に見ると、女性では帯状疱疹ワクチン接種後に認知症の発症は減っていますが、男性では差がありません。帯状疱疹ワクチンによる認知症予防効果は女性のみで見られる可能性があります。

上が女性、下が男性

帯状疱疹ワクチンには弱毒生ワクチンと組み換えサブユニットワクチンの2つがありますが、今回の調査は組み換えサブユニットワクチンが導入される前のことなので、すべて弱毒生ワクチンの接種のようです。

これまでにもインフルエンザワクチンの接種に認知症の予防効果があるといった研究もあり、ワクチンの接種が何らかの形で認知症を予防する可能性があります。アルツハイマー病では、脳内の炎症という免疫反応が病気に関係していると考えられています。ワクチンを接種すると、身体の免疫反応が賦活化されるため、それが脳内の悪い炎症反応を抑えて認知症の発症が予防されるのかもしれません。

現在、少なくとも東京都23区では50歳以上の方の帯状疱疹ワクチン接種に対して何らかの補助金が出ますので、未接種の方は接種をお勧めします。

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