パーキンソン病治療のためのiPS細胞製品の承認について
京都大学でおこなわれたパーキンソン病に対するiPS細胞治療の治験で一定の結果が認めらたことから、このiPS細胞が治療用製品として承認されました。
ただし、報道によれば治療を受けられるのは今後7年でわずかに35人ということです(世界初のiPS細胞治療、対象は少数でも患者が抱く「かすかな希望」)。これには理由があり、そもそも今回の治験では患者数が10人未満で非常に少数です。本来ならiPS細胞を移植した群と、そうでない群を作り二重盲検試験というのをおこなうべきですが、それもおこなっていません。手術を受けた患者さん達は自分が「本当の」iPS細胞を移植されたという事が分かっており、一定のプラセボ効果もあった可能性があります。ただ、患者さんの脳に侵襲的な行為をおこなうような治療において、必ずしも二重盲検試験は必要ないという意見もあります。パーキンソン病のDBSなどの定位脳手術も、二重盲検試験は非常に少なかったと思います。
このため、まずは仮承認という形になり、症例数をもう少し増やしてデータを集めましょうということになったわけです。
症例数は非常に限られますので、治療を受けられる方もいろいろ条件があるはずです。概ね、治験の時と同じ条件になると思いますが
年齢は70歳未満(これ以上だと移植した細胞の生着率が下がる)
ドパコールやメネシットなどのレボドパの効果がある。つまりこうした薬をのむと身体が動くようになるが、すぐに効果が切れてしまう、あるいはジスキネジアのような副作用で十分の量の薬が服用できない方。そもそもレボドパを服用しても効果がはっきりしない方は、iPS細胞を移植して脳内のドパミンを増やしても効果は期待出来ません。
認知症がない。外部からドパミンを作る細胞を入れてドパミンを増やしたときに、認知機能が低下していると幻覚や妄想などの精神症状がおこりやすい
おそらく最低限、上記の条件を満たしている方が対象になると思います。
もっとも良い適応は、比較的若く(60歳前後)、レボドパを服用すると生活に支障が無いくらい反応があるが、すぐに薬の効果が切れて動かなくなったりジスキネジアのために十分薬を服用するのが難しい方だと思います。実際にはそういう方も大勢いらっしゃるので、その中でどのように患者さんを選ぶのかはまだよく分かりません。
まだ詳細は発表されていませんので、当院や大学病院などの医療機関にお問い合わせいただいても、ここで書いた以上の情報はありませんのでご注意ください。

