パーキンソン病と運転免許
パーキンソン病患者さんが運転免許を更新する際に免許センターから、運転して大丈夫かどうか主治医に診断書を書いてもらってくださいと言われることがあります。
日本の法律では、認知症の方は運転が出来ないことになっており、てんかんの患者さんも発作のおきる可能性のある方は運転できません。
では、パーキンソン病であれば運転は問題ないのでしょうか?
過去に、パーキンソン病患者140名に発症前と後で自動車事故をおこした頻度を聞き取り調査した研究がありますが、それによるとパーキンソン病発症後は発症前に比べて事故を起こす頻度が4倍になっています。この調査では、認知機能が低下している人は事故を起こしやすいものの、振戦や動作緩慢といった運動症状が強くても事故の起こしやすさとは相関しなかったようです。また、パーキンソン病では衝動制御障害といって、ギャンブル依存、買い物依存、パーキンソン病治療薬(レボドパ)の乱用を起こすような症状が出る人がいました、この衝動制御障害がある方は事故を起こしやすいようです。
また、パーキンソン病治療薬の中には突発性睡眠といって、突然眠くなる副作用のある薬があります。こうした薬を服用している人は、運転を避けるべきと考えられます。
こうしたデータからパーキンソン病患者さんが運転を中止する基準として
①患者,家族が不安に感じている,②H&Y重症度4 の状態をを1 日のうちに認める,③認知機能が保たれている,④レボドパ服用量が900 mg以上,⑤衝動制御障害の可能性有り,以上のうち1つでも認めた場合には中止を考慮する
と提唱している研究者の方がいます(一部改変)。ただ、これはあくまで一私案なので、公的な基準ではありません。
主治医からすると、「運転可能」という診断書を書いても、その患者さんが事故を起こして万が一訴訟になったりするとそれに巻き込まれてしまうのではないかという不安があり、診断書の作成に消極的になることがあります。ただ、弁護士さんに聞いても、これまでに診断書を書いたという理由で医師が訴えられた事例はないそうです。また警察に確認しても、免許更新の際にドライブシミュレーターで技能試験をおこなっているので、事故があっても診断書を書いた医師だけが責められるということはないでしょうとのことでした。
高齢者の自動車事故の報道が増え、免許更新については患者さんも医師も敏感になっていますので、困っている患者さんも多いかと思います。患者さんや、その主治医にとって多少参考になればと思いこの記事を作成しました。
参考文献
パーキンソン病の自動車運転問題 OTジャーナル 2018
The Clinical Findings Useful for Driving Safety Advice for Parkinson’s Disease Patients. Intern Med 2018

