アルツハイマー病の薬はいつまで服用すべきか?
アリセプトを代表とするアルツハイマー病には内服の治療薬があります。重篤な副作用は少ないため多くの患者さんが服用していますが、ではいつまで服用すべきなのでしょうか?こうした薬の治験時のデータでは、概ね服用後1年半から2年で効果は乏しくなりプラセボ(偽薬)を服用している人との差は小さくなっていました。
フランスでは2018年に、こうしたアルツハイマー病治療薬(コリンエステラーゼ阻害薬)が費用対効果が乏しいという理由で保険対象から外れています。ただ、その後も一部の人は自費で薬を購入し服用を継続していました。今回、薬を中断した人と自費で継続した人との間で認知機能に差が出たかどうかを調べた研究結果が報告されました。対象は軽度から中等度のアルツハイマー病患者で観察期間は4年間です。
結果は、4ヶ月後から継続群と中止群に差が見られています。MMSEというテストの点数が、継続群では1年後には0.97点、4年後には1.81点、中止群を上回っています。つまり薬を中止してから比較的早期に差が出ている、その差は時間とともに大きくなっているということです。ただし死亡率については、継続群と中止群で差はありませんでした。
上のaのグラフでは黄色の線が継続群、青い線が中止群。下に下がるほど認知機能が低下することを意味していますが、一貫して黄色の方が下降が緩やかです。
この結果からは、コリンエステラーゼ阻害薬は飲み続けた方が良いということになります。ただ、今回の研究では薬を続けるかどうかは患者と医師との相談で決まっています。そのため、薬の効果を実感している人ほど自費でも続ける方が多くなると思われます。観察開始時の認知機能や年齢、教育歴、環境などは差が付かないようにしていますが、それでも両群がまったく同質かどうかは分かりません。
認知症の薬をいつまで続けるかというのは結論が出ていない問題ですが、一般的には
効果がまったく感じられない
副作用で続けられない
施設入所時など概ね生活の大部分で介護が必要な状態
のいずれかに該当する場合、中止するのが妥当だと考えます。

