なぜ運動により認知症(アルツハイマー病)が予防されるのか。
今回のブログは、岐阜大学脳神経内科教授の下畑先生のブログで知った論文の紹介です。医学的知識のある方は先生のブログを直接お読みください。
運動が認知症予防になる理由とは?
従来、運動が認知症の予防になるという研究が多数ありますが、なぜ効果があるかということについてははっきりとしたことは分かっていませんでした。
アルツハイマー病の発症メカニズム
そもそもアルツハイマー病がなぜ発症するかということですが、現在はおおむね以下のようなメカニズムで発症すると考えられています。
まず脳内にβアミロイドという蛋白が蓄積します。このアミロイドが溜まり始めると、それが引き金になり、今度はタウという蛋白が増えてきます。このタウ蛋白が神経細胞を傷害し細胞死、認知機能の低下、脳萎縮につながるという機序です。アミロイド自体にも神経細胞を傷害する働きがあったり、上記以外にも脳内のグリア細胞という免疫に関係した細胞も発症機序に関係はしているのですが、大まかにいうとアミロイド→タウという機序になります。
研究内容:運動量と認知症発症、脳内物質の関係
この研究では、平均年齢76歳の認知機能が正常な296名を最大14年間追跡調査し、認知症の発症と運動量の相関を調べています。同時にPETという機械を用いて、脳内のアミロイドやタウの量を調べています。
研究結果:運動がタウ蓄積を抑制
結果ですが、運動量とアミロイドの蓄積には相関がありませんでした。しかし、アミロイドがたくさん溜まっている人では、たくさん歩く人ほど、タウの蓄積は抑制されていました。特にアルツハイマー病の発症と関係している側頭葉での蓄積が抑制されていました。また、アミロイドがたくさん溜まっている人では、たくさん歩く人ほど認知機能の低下が緩やかでした。
1日に必要な歩数
歩行により認知機能低下の抑制効果は、1日5000-7000歩で頭打ちでした。
結論:運動はタウ蓄積抑制による認知症予防効果が期待できる
この研究からは、運動によりタウ蛋白の蓄積が抑制されることが、アルツハイマー病予防の原因となっていることが示唆されます。またそのための運動は1日5000-7000歩なので、現実的な運動量と言えます。

